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終わりよければすべて良し!
***極楽往生の準備はココから***
1. 遺言書作成について: どうして遺言は必要なのか
「相続をきっかけに身内同士が財産を奪い合う・・・」こんな話は枚挙に暇がありません。
日本はかつてない超・少子高齢社会が到来し、右肩上がりの経済成長も期待できない現代社会の状況がその背景となっています。
加えて、核家族化、ひいては家族同士ですら孤立する、超・個人主義の時代が既に到来していることも一因になっていると考えられます。
つまり、かつて一般的だった、「三世代が同居し、親の遺産は長男が引き継ぐもの。」という暗黙の常識が通用しなくなっているのです。
家族のあり方も多様化し、結婚しない、あるいは結婚しても子どもを持たない夫婦の増加
離婚する夫婦の増加など、家族関係もまずます多様化、複雑化しているのです。
このような状況下で、一旦相続が発生すれば、「揉めないほうがおかしい。」といっても過言ではありません。
そんな相続問題を未然に防ぐ切り札になるのが、「遺言書」なのです。
自分自身が責任を持って「きちんとした遺言書」を作成することで、自分の財産を巡るトラブルを予防することができるのです。
《遺言が必要なのはこんな方》
・こどもがいない方
・再婚している方
・相続人が遠方に住んでいる方
・認知症の方や知的障がい、精神障がいの家族がいる方
・相続人と音信不通の方
・事業や農業を営んでいる方
・相続人同士が不仲の方
・事実上の離婚状態の場方
・内縁の夫(妻)がいる方
2.「遺言書」を作成するメリット
(1)2つのメリット
①遺産分割協議を経ずに相続手続きが完了できる
②面倒な相続手続の負担を大幅に軽減し、円滑な遺産の名義変更が可能
・・・遺産分割協議を経ずに相続手続ができる
遺言書を作成しておくことの最大のメリットは、相続時に問題になる「遺産分割協議」を経ずに、相続手続が完了できることです。
相続で揉める最大の原因は、この「遺産分割協議」が相続人全員の合意によってのみ成立するものであるため、これがなかなかまとまらないことが挙げられます。
遺産の名義変更には、この「遺産分割協議」が成立したことを証する「遺産分割協議書」が必要で、
しかも「遺産分割協議書」には相続人全員の署名と実印での捺印、そして相続人全員の印鑑証明書が添付されていなければならず、
これを作成すること自体大変な手間がかかります。
結局のところ、この「遺産分割協議」がなかなかまとまらず、相続トラブルに発展してしまうわけです。
また、いわゆる普通のご家庭であっても、相続トラブルが急増している実態があります。
(2)普通の家族でも揉めてしまうケース
①主な遺産が不動産のときにトラブル多発!
②両親ともども他界したあとの2次相続のときにトラブル多発!
③親より先に子が亡くなるとトラブル多発!
④相続人間で介護負担に大きな偏りがあるとトラブル多発!
上記のようなケースは、特に「遺産分割協議」がまとまらないケースが多く、
相続が紛争に発展する危険性が高いといえます。これらは、普通のご家庭でも多くの方があてはまるのですが、
つまり、ごく普通のご家庭でも、相続トラブルに発展してしまうことが日常茶飯事であることを心得ていただきたいと思います。
(3)遺言書があれば、
その遺言者の所有する財産の行き先はその遺言書に記載されているとおりになり、
「遺産分割協議」をしなくても遺産の名義変更が可能になり、無用な相続争いを未然に防ぐことにつながります。
もちろん、家族の状況や、人間関係を踏まえた、きちんとした「遺言書」を作成しておくことが円満相続のためには不可欠です。
「きちんとした遺言書」でなければ意味とはいえ、ただ単に遺言書を作成すればいいのかというとそうではありません。
遺言書の大きなメリットを実現する為には、どうしても「きちんとした遺言書」を作成することが必要になります。
具体的には、自分の財産全般に対して効力のある遺言でなければいけませんし、
また相続人の本来有する相続権や遺留分、あるいはその感情の部分にまで配慮した分割内容を工夫しなければなりません。
中途半端に遺言書を作成してしまったがために、かえってそれが元で親族同士揉めたらそれこそ本末転倒なのです。
「きちんとした遺言書」の作成の前に行うべきことは次の3点です。
(4)「きちんとした遺言書」作成のためにまずするべきこと
①自分の相続人とその相続割合を正確に把握する
②自分の現在持っている財産内容を整理する
③相続人の有する遺留分を把握する
④今後の自分と家族の状況を予測する
上記のことを明らかにしはじめて、真に公平な「きちんとした遺言書」を作成することが可能となるのです。
遺言書の作成には、専門的な知識とその後の相続手続が円滑に行われることまで踏まえた遺言内容にしておかなければ全く意味がなく、
結局のところ、円満相続につながらないことに注意が必要です。
一方で、「きちんとした遺言」を作成しておくことで、
本来相続手続で必要となる膨大な数の戸籍謄本の収集や、相続人全員による遺産分割協議書の作成、
さらには相続人全員の印鑑証明書の収集といった非常に大変な相続手続の作業をことごとく省略でき、
非常にスムーズに遺産名義変更等の相続手続が完了できることも遺言を作成しておくことの大きなメリットです。
3.特に遺言書が必要なのはこんな方
中でも次のような方は、将来遺産を巡って相続問題が起こる可能性が非常に高いといえますので、
事前にきちんとした遺言書を作成しておくことを強くお勧めいたします。
(1)子供がいない場合
子どものいない夫婦の場合、その多くは、自分のご兄弟、場合によりおいやめいまで相続権が及ぶことになり、
そのような相続人全員による遺産分割協議で同意を得ることは、現実的には大変困難です。
(2)相続人同士が不仲の場合
仲の悪い兄弟に、遺産分割協議を上手くまとめることは大変困難です。
このような場合に遺言なしで遺産を残すことは、火に油を注ぐようなものです。
(3)相続人と音信不通の場合
遺産分割協議は、音信不通の相続人がいてもその者を含めた相続人全員でしなければなりません。
現実問題として、音信の途絶えた人の居所を突き止めるのは、非常に困難で、相続手続自体を進めていくことが大変困難になります。
(4)農業や事業を継承すべき場合
農業や事業を行っている方は、遺言書がない場合、法定相続分での分割を強いられるおそれがあります。
農地や株式などを後継者に単独で引き継ぐことができないと農業や事業の継続に大きな支障出る危険があります。
(5)再婚している場合
再婚の時期にもよりますが、母親の違う子ども同士の交流というのはよくないものです。
しかし、遺産分割協議では、嫌でも顔を合わせて話し合う必要がありますが、これが困難なのが現実で、そうなると相続手続が全く進まない自体を招いてしまいます。
4.遺言内容
遺言書を構成する内容として大きく2つあります。
・法的に有効な「法定遺言事項」と、
・そうではないもの「付言事項」とがありますので、
これをまず区別して理解するようにしましょう。
(1)「法定遺言事項」
①財産の継承・処分方法
法定相続分と異なる相続割合を指定する「相続分指定」、相続人に何を相続させるか指定する「遺産分割方法の指定」、第三者に対しても財産を与えることのできる「遺贈」といった手段を用いることによって、自分の財産の承継先、処分方法を決定することができます。
②相続人の廃除・廃除の取り消し
日頃から遺言者に暴力を振るったり、人前で悪態をつくなどの重大な非行をする相続人がいる場合には、「相続人廃除」を遺言ですることができます。
反対に、生前に相続人を廃除していたが気が変わったという場合には、遺言で「相続人の廃除を取消し」ができます。
③婚外子を認知する
何らかの事情で、婚外子がいたとした場合、生前に認知することはもちろん可能ですが、感情的なもつれを気にかけて、なかなか踏み切れないことがあります。
そこで、遺言による認知が認められており、認知によって自分の死後、婚外子に相続権を遺してやることができます。
④未成年の子どもの後見人・後見監督人を指定する
自分が亡くなると、未成年の子どもの世話をする人が誰もいなくなってしまうことに備えて、その子どもの財産管理や身上監護をする後見人や後見監督人を遺言で指定することができます。
⑤遺言を執行してもらう人を決める
遺言書でぜひ盛り込んでほしいのが、遺言どおりになるように手続きを進める人「遺言執行者」を指定することです。
遺言執行者は、相続人の代理人として、相続開始後に、名義変更をはじめ遺言の内容を実現する責務を負う人のことです。
遺言執行者を定めておかないと、相続人全員が手続きに関わる必要があったりして、結局遺産相続がスムーズに行かなくなることも考えられます。
ぜひ、ご自身の遺言書には、相続手続きに精通した法律の専門家を遺言執行者として指定しておくとよいでしょう。
⑥祭祀の承継者の指定
祭祀財産(系譜、祭具及び墳墓)の承継者の指定は遺言事項です。
お墓の管理や法要の主宰者をあらかじめ遺言で指定しておくことは現代社会では必要不可欠といえます。
どうしても財産ばかりに目が行きがちですが、必ず祭祀の承継者も別途、遺言で指定しておくことをお勧めいたします。
⑦認知症の配偶者の面倒や遺されたペットの面倒をみてもらう
自分の死後、認知症になった妻の面倒を長男に任せ、その代わりに家や土地を相続させる、といった「負担付遺贈」「負担付相続させる遺言」をすることが有効です。
あるいは、「妻に全財産を相続させる」といったやり方も考えられますが、妻が亡くなったときに再び相続の問題が出てきたりして、問題の先送りにすぎないという面もあります。
同様に、自分の大切なペットのために「負担付遺贈」の方法により。遺言で世話をしてくれる人に一定の財産を譲るとともに、ペットの世話も合わせてお願いする遺言も可能です。
(2)「付言事項」
「付言事項」には、例えば、家族へのメッセージや、葬儀、納骨に関する希望などを記載することになります。
①葬儀や納骨のこと
葬儀や納骨のことについてよほど実現が難しいことでなければ、遺族は遺言者の意思を尊重してくれるでしょうから、遺言書に書いておいて損はありません。ただ、生前に葬儀会社と契約を結んだりして、自分自身での準備も行うほうがよいでしょう。
②献体・臓器提供のこと
献体については、生前に家族の同意を得たうえで、献体したい大学や団体に申し出て登録手続きを済ませておく必要があります。
臓器提供については、各地方自治体の役所窓口、コンビニ、郵便局などで配布している、臓器提供意思表示カード(ドナーカード)に提供する臓器や連絡先などをすべて自筆で記入します。
それぞれ、生前に必要事項を自分で準備しておくとともに、遺言にも家族に対して、自分の献体や臓器提供の意思を明確に示しておくことは非常に有効です。
③遺された家族へのメッセージ
財産承継や処分の内容について、なぜそうなったかの理由を、家族への想いとともに上手に盛り込むことで、無用な相続争いを防ぐことにつながります。付言事項ではこの項目はぜひとも記載しておいてほしい項目です。これをいかに家族の心に響かせかれるかが、円満相続のカギであると私は考えています。
5.遺言における付言事項の重要性
(1)なぜ「付言事項」は必要なのか
付言事項は、法律に縛られることなく、比較的自由に文章を作成できることから、遺言者自身のストレートな想いをメッセージとして関係者に伝えられるということが大きいと思います。
別の見方をすれば、付言事項が唯一、遺言者自身のオリジナリティを発揮できる場であるからこそ、これを記載することで、その遺言に、遺言者自身の魂を吹き込むことができるといえるのです。
(2)付言事項を書くときに気を付けたいこと
このように、付言事項はそれなりに重要な事項であることがお分かりいただけたかと思います。では、実際に付言事項を書くにあたり、どのようなことに注意すればよいのでしょうか?
まず、付言事項には、家族、関係者への実名を記して、感謝の気持ちを記載すること、そして、なるべく具体的なエピソード等を記載してそのことを伝えることが重要です。
次に、遺言で多少は出てくるであろう不公平感に配慮しながら、
なぜそのような遺言になったのか、理由を記載することがポイントです。
さらに、自分の生きてきた人生を振り返ってその人生に対する前向きなメッセージが記載できれば理想的です。
そして、家族へのメッセージとともに、自分の葬儀や納骨、献体や臓器提供、さらには遺品処分のあり方など、遺された方が困らないように方向性を示しておくことは非常に有意義です。
このようなポイントを踏まえた「付言事項」を遺言書に盛込むことができれば、貴方の遺言書に魂が吹き込まれ、本当の円満相続が実現できるツールとして光り輝くものになります。
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